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川 ゚ -゚)クーたちは想像上の生物のようです

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:03:23.85 ID:peSmYiXI0
プロローグ
『メイド・イン・パラダイム』

act.1『宇宙戦艦バルバトス』

(,,゚Д゚)「これが……最後の、任務になるだろう」

戦艦『バルバトス』艦長Aは眼前に集合した乗務員に向かって言った。
彼の背中には巨大なディスプレイがある。
そこでは今まさに宇宙空間で行われている、
地球とXXXXXXXXXX星との最終戦争が映し出されていた。

(,,゚Д゚)「我が艦に司令部からの命令が下された……。
     可及的速やかに敵艦への突貫を行え、と」

重々しく言い放った彼の言葉に、乗務員全員が色めき立った。
現在、地球軍は圧倒的に不利な状況に立たされている。
この『バルバトス』もつい先程まで前線で戦っていたため、至る所にダメージを受け、
装備していた弾丸も尽きてしまい、補給のために一時後退しているのだ。

(‘_L’)「そ、そんな。では、し、司令部は我々に死ねとおっしゃるのですかっ」

砲撃手Aが声をあげた。それに呼応するかのように、他の乗務員達も一斉に喚き始める。
中には泣き出す奴、壁を殴り出す奴までいてえらい騒ぎだ。

(,,゚Д゚)「静かにしろ!」

艦長Aが一喝する。

(,,゚Д゚)「戦況は極めて不利だ……事態を打開するには、こうするしかない……!」

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:04:21.17 ID:s1BoJy+h0
そして物語は終わったとさ





                        終わり

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:04:59.12 ID:tuz/NHogO
(`▽´)「ば、バルバトス…………」



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:05:32.88 ID:9qFPx0g80
支援

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:06:26.71 ID:peSmYiXI0
一方、『バルバトス』艦内にある乗務員室。
今そこではまさに、ちんことまんこのせめぎ合いが行われていた。

(*^ω^)「あふぅ、ふ、ふ、ふぐぅ、ふにゅ、も、もう出ちゃうおっ」

後背位の恰好で賢明に腰を振っているのは全裸の乗務員ブーンである。
彼の陰茎たるや、今や彼の妄想の分だけ誇張した大きさを保っており、
フランス人も吃驚なマグナムペニスが相手の膣内でうねっているのである。

さて、そのお相手であるがこれがあまりはっきりしない。
妙に霞がかっていて、その姿形を正確に把握するのは不可能である。
だが、そこにははっきりとヴァギナが存在しており、
「はぁ、あはっ、ハァン、いいわ、いいわぁ、YES! OH MY GOD!」
という、萌えボイスな喘ぎ声がブーンの鼓膜を断続的に刺戟していた。

(*^ω^)「おふぅ、お、おふぅ、おふう」

( ゜ω゜)「ふなっ!」

瞬間、ブーンの身体が大きくのけぞった。
彼女のものと思しき肉体に両手で必死にしがみつきながら、
その膣内へ白濁液をぶちまける。ぶちまけ続ける。その射精は止まらない。

( ゜ω゜)「お、おう、オウ、と、止まらない、ぼ、僕の精子がエンドレス!」

そのとき、轟音と共に室内が炎に包まれた。
『バルバトス』が敵戦艦に衝突、爆発炎上したのである。
紅蓮の炎の中で、ブーンの陰茎から放出され続ける精子が微かに煌めいていた。

6 : [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:07:23.31 ID:zWvifXQtP
川 ゚ -゚)オナニー楽しいか?^^屑虫野郎^^

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:09:01.79 ID:peSmYiXI0
act.2『日本撲殺』

( ´∀`)「……ブーンさん、落ち着いて聞いて欲しいモナ」

医師Aがブーンに静かに語りかける。

(;^ω^)「や、やだなあ先生、お、脅かさないでくださいお」

( ´∀`)「貴方の病気は極めて深刻です……そう、病名は睾丸疲労症。
      あまりに精子を作りすぎたため、睾丸が極度に疲弊してしまう病です」

(*゚ー゚)「そ、そんなはずないわ先生!」

ブーンの後ろに立っていた、ブーンの妻Aがずいと前に出てきて抗議する。

(*゚ー゚)「だって、だってブーンとはこの頃、ちっとも夜のプロレスごっこをしていないんですのよ!」

( ´∀`)「しかし……睾丸はそうは言っていません。
     ……余命、二ヶ月といったところでしょうか」

( ゜ω゜)「な、なんだって!」

(*゚ー゚)「あんた! どこの誰とセックスしたの!?」

( ´ω`)「いや、ええと、その、宇宙戦艦で……」

(*゚ー゚)「ハァ!?」

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:10:23.58 ID:S5ITNpZ1O
オセックス

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:12:01.73 ID:peSmYiXI0
(*゚ー゚)「わかった、イメクラね! 宇宙戦艦ごっこしてたのね!?」

( ゜ω゜)「うっせー!!」

突然ブーンの怒りが頂点に達した。

その勢いでブーンは、いつの間にか右手に握り締めていた金属バットを妻Aの側頭部に叩きつけた。
吹き飛ぶ妻A。ついでにブーンは、医師Aも撲殺した。

次にブーンは自分が今まで座っていた丸椅子を撲殺した。
注射器を撲殺した。レントゲンを撲殺した。X線を撲殺した。
蛍光灯を撲殺した。白衣の天使を撲殺した。受付のテーブルを撲殺した。

病院そのものを撲殺した。
隣の家を撲殺した。マンションを撲殺した。東名高速を撲殺した。
メタセコイヤを撲殺した。コインロッカーを撲殺した。

東京タワーを撲殺した。六本木ヒルズを撲殺した。赤坂サカスを撲殺した。
東京都二十三区を撲殺した。千葉県を撲殺した。神奈川県を撲殺した。

茨城県を撲殺した。関東平野を撲殺した。
富士山を撲殺した。飛騨高山を撲殺した。中部地方を撲殺した。

近畿地方を撲殺した。東北地方を撲殺した。
稚内以外の北海道を撲殺した。四国を撲殺した。うどんを撲殺した。
鳥取砂丘を撲殺した。九州地方を撲殺した。

めんどくさいので、とりあえず、全部撲殺した。

その日、日本は血の海に沈んだ。

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:12:41.20 ID:8n0I7m2LO
はあ!?

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:13:35.23 ID:/1bqVjUb0
加筆修正がぶっ飛びすぎだろwwwwwww

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:15:08.02 ID:tuz/NHogO
(`▽´)←名前着けたからコイツも出してくれ

高橋由伸

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:15:23.63 ID:peSmYiXI0
act.3『クーは想像上の生物のようです』

( ^ω^)

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

川 ゚ -゚)

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:15:25.54 ID:9qFPx0g80
なんぞこれwww

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:18:41.59 ID:peSmYiXI0
( ^ω^)

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

川 ゚ -゚)

( ^ω^)

川 ゚ -゚)

( ^ω^)「誰?」

川 ゚ -゚)「魔法少女」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:20:21.64 ID:peSmYiXI0
act.4『煉獄への階段』

視界が混濁している。
ブーンは道を意識的に或いは無意識的に歩行している。
その道は狭く、暗い。音は無い。聴覚は働いていないようだが、
いつの間にか隣を歩いていた男の声だけ鮮明に認識出来る。

( ´∀`)「ここを抜けるとあなたは煉獄に行くことが出来るモナ」

( ^ω^)「ということはここは現実じゃないお。地獄かお? 天国かお?
      あ、そうか。これは夢だお。夢。夢……」

( ´∀`)「さ、ここからは階段が続いてるモナ。足下に気をつけるモナ」

( ^ω^)「夢だからなんでもできるお。なんでもできるお。
      でもまだやらないお。そのほうが楽しそうだから。ふひひひひ」

( ´∀`)「あ、ちなみに上り階段だモナ」

その時ようやくブーンは目の前の階段を意識する。
意識された階段は視覚的な存在を果たす。

( ^ω^)

( ´∀`)

( ^ω^)「夢だからなんでも出来るお」

( ´∀`)「そう、夢だからなんでも」

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:22:41.17 ID:/1bqVjUb0
支援

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:23:18.53 ID:peSmYiXI0
思考が巡る。
何でも出来るならば何がしたいだろう。
ブーンが最初に思いついたのは「飛ぶ」ことだった。

どこかで聞いたことがあるのだ。
夢だと意識した夢の中ではなんでも出来る。
その一例に、まずそれが飛べると。

どこかに書かれいた。どこに書いてあったかは覚えていない。
だからブーンは、何よりもまず飛びたいと願った。

願った瞬間に、ブーンは飛んでいた。
ふわりと宙に浮き上がり、隣にいた男を俯瞰していた。
目の前にマンションが見えた。坂道と自動販売機も見える。
言いようのない既視感を覚えるが、そこがどこであるのかは分からない。

ブーンは空中を歩いていた。
いや、そこにある見えない階段を上っていた。
歩行するブーンはさらに上昇していた。

( ´∀`)「おーい、どこに行くんだモナー?」

下の方から声が聞こえる。
だが、もはやブーンは気にしていなかった。
何も思わず何も考えず、ブーンはただただ上へ上へと目指していた。

そのうち、突然意識が断絶した。

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:26:00.95 ID:peSmYiXI0
act.5『ジェットコースター・ベイビーズ』

いつの間にかブーンはジェットコースターの先頭に乗り込んでいた。
係員が安全対策用のレバーを降ろし、ブーンの身体を固定する。

ブーンの隣にはまだ一歳にも満たないであろう赤子が座っていた。
いや、そのジェットコースターはすでに満員であるのだが、
乗客はブーン以外全員襁褓をつけた赤子であるのだ。

彼は皆自身が赤子でないということを主張するかのように静かで、暗い目をしていた。
誰一人泣いてはおらず、皆死んでいるかのように礼儀正しく席に座っていた。

彼らにはレバーが意味をなさないということをブーンはすぐさま理解した。
彼らの体躯はあまりに小さく、普通ならば身長制限で引っかかるはずなのだ。
だが、それについてとやかく言うほどブーンは野暮で無かった。
夢であることはすでに自覚済みなのだ。
また、自分が身動きできず、これからやって来る夢の展開を甘受せねばならぬことも分かっていた。

やがて、軋んだ音を立ててジェットコースターが動き出した。
緩やかなスピードで定石通り坂を上っていく。
カタンカタンと断続的な機械音が鼓膜を打つ。

ブーンはちらと隣の赤子を盗み見る。
男か女かも未だ判別しがたいその赤子は、両手を膝の上に乗せて、
口を真一文字に結んだまま、置物のように静止し続けている。

ブーンの視界から上り坂が消失する。
コースターが頂点に達したのだ。

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:27:29.51 ID:/1bqVjUb0
支援

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:27:38.15 ID:EJSwleJKO
支援

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:28:22.92 ID:peSmYiXI0
だが、その認識が誤りであったことをブーンは即座に気付く。
ブーンは当然、このコースターが次に猛スピードで下り坂を下るものだと思っていた。
だが、このコースターには下るべき下り坂が存在していない。
上り坂の頂点が、いわばこのコースターの終着点だったのだ。

しかし、そんな事実に関係なくコースターは前へ進み、
そのうち車体の最後尾がレールからはみだし、コースターが完全に宙に浮いたところで、
それは勢いよく落下を始めた。

下からの壮絶な風圧がブーンを殴打する。
だが、その風圧をブーンは大した衝撃であるとは思っていない。

彼は空を仰いだ。
今し方までコースターに整然と座っていた赤子達が一斉に宙を舞っていた。
肌色の花弁が舞い散るように、赤子の身体がくるくると回転しながら自由落下している。

コースターはどこまでも落下した。
その時ブーンは唐突に、ジェットコースター以外の風景や、
その他あらゆる感覚を知覚していないことに気付いた。

だが今更どうすることもできない。

ブーンの身体は落下し続ける。

落下に落下を重ねてやがてブーンは、教室の自分の席に着地した。

それと同時に、数学教師に頭を参考書で思いきり叩かれる。

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:28:57.06 ID:9qFPx0g80
支援

24 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 22:29:32.21 ID:peSmYiXI0
以上プロローグ
以下第一話

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:30:26.25 ID:/1bqVjUb0
支援するぜ

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:30:49.52 ID:5QZhtixr0
好きすぎる支援

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:30:55.82 ID:S5ITNpZ1O
ここで終わってれば名作だった

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:32:11.42 ID:UsBIm22f0
支援

29 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 22:32:19.19 ID:peSmYiXI0
第一話
『限りなく想像に近い実在』

その奇妙な能力、あるいは病気をブーンが患ったのは半年ほど前のことになる。

この物語において、彼は人間であるという設定だ。
人間ということはつまり、食事をとるし排泄する。種々の生理現象をごく普通に行う。
睡眠もその一つだ。彼はごく普通の体質の持ち主なので、一日に七時間程度の睡眠を要する。

人間であるから彼は夢を見る。その夢は多分に漏れず混沌としている。
悪夢を見る回数は年を経る毎に減った。だが、それでも見る夢の不条理さは以前と変化無い。

何の前触れもなく彼が罹った病とは、夢に没入してしまうと言うことだ。
つまり、彼が夢を見ている時、彼の姿は現実から消失する。
病気を持って以来、彼はほぼ毎回のように夢を見るので、
睡眠時は大抵この世にいないということになる。

だから授業中にうっかり眠ってしまうと非常に危険だ。
彼の姿がこの世から消える。当然教師はそれに気付く。ああまたあのバカは寝ているのかと知る。
おもむろにペンを動かし、彼の平常での態度を記録する。成績に影響する。

居眠りは以前からの悪癖だったため、病に患ってからも改善されることが無い。

なお、この病気は別に彼独特のものではない。
少数ではあるが、世界各地で同じ症状が報告されている。
つまり、彼が『世界で一人、選ばれた人間』とか、別にそういうわけではないのだ。今のところ。

以上の説明を一行でまとめるとこうなる。

ブーンは夢を見ているとき、現実世界から姿が消える。

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:32:44.64 ID:QVIvYT8YO
真面目なのか、シュールなのか、 俺には判断し兼ねる…

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:33:19.58 ID:/1bqVjUb0
支援

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:35:12.44 ID:peSmYiXI0
高校は昼休みに突入していた。ブーンは机に突っ伏してもぞもぞと蠢いている。
微睡みから抜け出さず、このままもう一度寝てしまおうかなどと考えている。
頭が痛い。数学教師に叩かれたせいだ。

ふと股間周辺に違和感を覚える。
首を動かし机の下をのぞくと、そこで一人の男がブーンの股間を穴が空くほど凝視している。

( ^ω^)「……何してんだお」

('A`)「いや、勃起してないかなって」

( ^ω^)「……」

('A`)「いや、ほら、あるじゃん。授業中居眠りしてて起きたらうっかり勃起してて、
    授業終わりの挨拶が前傾姿勢になっちゃう現象。
    俺としてはそれを『小さい秋見いつけた』って呼んでるんだけど」

鼻息荒くそんなことを言っているドクオから逃れるため、とりあえずブーンは立ち上がる。
幸い『小さい秋見いつけた』は発生していない。

('A`)「で、どんな夢見てたんだ。今日は誰を犯した?」

( ^ω^)「ドクオじゃあるまいし、そんな卑猥な夢見ないお」

実際は見たが。

('A`)「ハッ……ブーン、俺ァ、夢の中でもオナニーだぜ!
   そう簡単に、貞操を相手に渡すことはしねぇ」

( ^ω^)「あらそうですか」

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:36:44.56 ID:EJSwleJKO
支援

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:37:02.23 ID:peSmYiXI0
ちなみに、このクラスでブーンと同じ病――便宜上特殊夢遊病と表記する――を、
患っている人物はいない。
日本での患者数は三桁ほどであるそうだ。

('A`)「ま、いいや。とりあえずメシ食おうぜ」

ドクオがどこからともなくパンの入った紙袋を取り出してブーンの机に置いた。

('A`)「しかし難儀な病気だよな。つーか、病気なのか?」

( ^ω^)「病気……って感じじゃないお。お医者さんに脳波とか見て貰ったけど、
      特に異常らしい異常は無いらしいお」

('A`)「でもよ、正直な話、夢の中でヤリたい放題だろ?
    あの子もこの子もおっぴろげ。あらこんなところにも陰毛がってレベルだろ?」

( ^ω^)「ううん……」

この特殊夢遊病患者になって初めて気付いたことがある。
夢の中の自分がはっきり自分であると断言できないということだ。
夢の中ではどうにも意識が曖昧である。
例えば、先程の夢では日本全体を撲殺するという、あまりに意味不明な場面が混じっていたが、
あの時の暴力意識がブーン自身のものであるかといえば、
ブーンとしてはどうしても否定したいところだ。

あのような一面があると考えることも出来る。
しかしそれにしたって誇張されていることは間違いないだろうから、
それ自体を現実世界におけるブーンと意識が同一であるかといえばそうではないだろう。

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:37:52.17 ID:G6/M4HzX0
お、言ってたアレか

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:39:11.74 ID:/1bqVjUb0
しえんう

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:39:47.11 ID:9qFPx0g80
小さい秋見いつけたで不覚にも噴いたwww

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:40:13.69 ID:peSmYiXI0
ゆえに、例えば目の前に絶世の美女が現れたとしても、
彼女を犯すことを欲する意識でない限りは決して淫交を実行できないのだ。

仮に運良く自分が自分であると意識することが出来たとしても、
後から考えれば自分は自分だと意識するように操作されていたと思わざるを得ない場合もあるし、
また、そもそも犯したい美女が現れない。今回は……まあ、現れたが。

……というようなことをドクオに説明しようとしたが、
うんざりするほど長ったらしい話になり、面倒なので一言で済ませておいた。

( ^ω^)「いや、そうでもないんだお」

('A`)「ふうん……あ、このチョココロネうめえ。思い出すわ、あれ」

( ^ω^)「どれ?」

('A`)「昔食べた母の大便……ちょっと下痢してたときの……」

(;^ω^)

ドクオが言うと冗談に聞こえない。
いや、冗談だとしても最低レベルのシモネタであるのだが、彼の場合実行している可能性が高い。

何しろこの男、生粋の変態である。
そこらを歩いている露出狂が土下座して謝るほどの真のド変態だ。

ブーンとドクオは幼なじみ同士であるが、二人が幼稚園児だった頃、
ドクオの家に遊びに行ったブーンは、そこでドクオが、
昼寝をしている父親の肛門周辺を熱心に舐め回しているのを目撃した。
以来、ブーンはドクオに対して常識という観念と捨てている。

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:41:36.69 ID:XUMOkJHfO
天国にいったとかあの世で死んだは読んだ
支援

魔法少女っぽいの書き直しじゃなさ気?

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:42:05.94 ID:cCj2NcUEO
>>1 
はあ、まんこまんこ

41 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 22:43:06.71 ID:peSmYiXI0
('A`)「で、結局どんな夢を見たんだよ。教えてくれよ」

( ^ω^)「いや……」

あまり言いたくない内容の夢だった。
大まかに五つの場面が登場し、まず最初の夢では誰とも分からぬ女とセックスしていた。
次の場面では日本を撲殺し、次の場面で。

( ^ω^)「……」

('A`)「どうした。ペニスの置き場所を忘れちまったような顔して」

あの場面は一体なんだったのだろう。

今まで見たどの夢よりも無味乾燥とした夢。
ブーンは一人の少女と対峙していた。黒い髪、鋭い瞳、整った顔立ち。真っ黒なドレス。
言ってしまえば、美人。そして、ブーンが「誰」と問うと、彼女はシンプルにこう答えた。

川 ゚ -゚)「魔法少女」

と。

勿論、彼女のような知り合いはいないし、どこかで出会った記憶もない。
大体、自らを魔法少女などと名乗る人物とは同次元で出会いたくない。

( ^ω^)「……ま、その、いつも通りのスペクタクルだったお」

('A`)「へえ……」

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:43:42.53 ID:DaEOG4ZuO
魔法少女と違いすぎわろた

43 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 22:46:06.58 ID:peSmYiXI0
('A`)「まあ俺が昨日見た第三次ヴァギナクロニクルに比べ……りゃ……」

ドクオの言葉が途中で止まる。
何事かと、取り出した弁当箱を箸でつつくブーンの手も止まる。
ドクオの首が、電池の切れかけた機械人形のようにぎこちない動作で斜め後ろに動いた。

彼の視線の先にはスピーカーがある。
時々生徒や教師の呼び出しで使われるものだ。
今、そこからは放送部員により種々の音楽が流れていた。

『きっのこの上の芋虫は寂しさをおっしえる教授だった♪……』

('A`)「……なあ、ブーン。俺ァ、思うんだ」

( ^ω^)「なんだお」

('A`)「最近の邦楽は温い……緩い肛門の中に指突っ込んでるみたいだぜ。
    それじゃあ、いけねえ。音楽ってのァ、もっとこう、ギラついてるもんさ」

( ^ω^)「うん。で?」

('A`)「俺、ちょっと放送室行ってくるわ」

言いながらズボンのポケットを探るドクオ。
妙に膨らんでいるそのポケットには、何かいかがわしいものが入っているに違いなかった。

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:48:20.41 ID:9qFPx0g80
支援

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:48:35.97 ID:gp5PSMkK0
意味なしアリスwwwwww

46 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 22:49:16.20 ID:peSmYiXI0
『えー続いての曲は、サザン・オールスターズ……』

('A`)「ちょっと待ってな、ブーン。今から俺が、このアナルみたいな顔をした生徒共に、
    モノホンのロックってヤツを教えてやるぜ」

言うやいなや、席を立ち上がるドクオ。そしてブーンが止める間もなく、
彼は素早い動きで教室の外へと飛び出していった。
いや、そもそも止める気は寸分も無かったのだが。

目的意識に目覚めたドクオを止めることなど、誰にも出来やしない。
スピーカーからは、まだサザンの新曲が実に穏やかに流れている。
とりあえずブーンは食事を続ける。

从 ゚∀从「ぶ・う・ん」

無理矢理な猫なで声が背後から聞こえて、思わずブーンは身震いした。
不吉な予感しかしないままに振り返ると、そこに一人の女子生徒が立っている。

片眼が隠れるほどの長髪、均整の取れた身体バランス。セーラー服。
隣のクラスの女生徒、ハインである。ブーンが思いっきり嫌悪の溜息をついた。

( ´ω`)「なんか用かお」

从 ゚∀从「冷たいな、せっかくこうして恋人が会いに来たっていうのに」

胸を張るハイン。無闇に声がデカいため、周囲に恋人というワードが撒き散らされる。
殺意の視線を四方から浴びながら、ブーンはそのライトノベル的な人物を見遣った。

47 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 22:51:42.42 ID:peSmYiXI0
ハインがブーンに近づいた理由は割と不純である。
すなわち彼女は、ブーンそのものに興味がああったわけではなく、
彼の持つ特殊夢遊病に興味を示したのである。

根っからの学者気質を自称するハインにとって、ブーン持つ病はあまりに魅力的だったようだ。
今だって、先程ブーンがまた消失したことをいち早く聞きつけてやって来たに違いない。

( ´ω`)「とりあえず、僕はハインみたいな恋人を持った覚えは無いお」

从 ゚∀从「なんだよ、言ってるじゃねえか。八百円でおっぱい揉ませてやるって」

( ´ω`)「なんで金とるんだお……」

さっさと逃げ出せばよかったなあ、などと後悔してももう遅い。
ここはさっさと夢の内容を話して帰ってもらうのが吉だ。
ブーンがそう観念した時、壁のスピーカーから悲鳴が聞こえてきた。

『えーでは続いての曲……あ、ちょっと、あなたなんなんですか!』

『静かにしな……あんまり騒いでると、亀頭を集中責めしちゃうぜ!?』

『ななななななな何いってるかわかんないんです!』

どうやら、ドクオのテロが始まったらしい。
なんだなんだ、と生徒の興味が一斉にスピーカーに向かう。
ハインもブーンから視線をはずす。この隙に、とばかりにブーンはこそこそとその場を抜け出した。

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:54:48.12 ID:/1bqVjUb0
支援

49 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 22:55:21.93 ID:peSmYiXI0
『おい、聞いてるか、この学校に通う憐れなクリトリススチューデントども』

『か、勝手にマイク使わないでくださウヒャハッ』

情けない悲鳴とともに放送部員の声が途切れる。
一体ドクオは彼に何をしたのだろう。想像したくもない。

『サザン……か。ああ、それもいいだろうぜ。この平和ぼけした日本じゃァ、な。
 だがな、今、この瞬間にも戦争は起きている……そう、世界各地で、だ。
 ラブアンドピースなんて、巫山戯たこと言ってる場合じゃねえんだぜ!』

( ´ω`)(なんかドクオ、主張が軍人みたいだお)

廊下を小走りで通過しながらブーンは思う。
周りの生徒は皆ポカンと口を開けて放送に聞き入っている。

『そして、そう。人は戦わなくちゃいけねえ。生きている限り、ずっとな。
 お前ら、小戦争をしているか!? ディスプレイの向こう側に、白濁の砲弾を放っているか!?』

ここらへんでようやく、彼のいう戦争が性的な意味でしかないということを理解する。

『そんな気持ちを込めて、俺が送るナンバーだ……聴いてくれ。
 曲名は、【聡子五十歳 糞まみれの恍惚FUCK】』

ドクオの声が止まる。続いて聞こえてきたのは、ノイズでしかない強烈な排泄音だった。
それに入り交じり、五十代熟女の茶色い嬌声も聞こえてくる。
ミチミチィ、ブリュリュリュゥ、グチャァ、ネチャァ、イヤァァァァハァンと地獄のごとき音楽がスピーカーから垂れ流され、
たちまちブーンの周囲は阿鼻叫喚の巷となる。

( ´ω`)(スカトロAVなんざ録音してんじゃねーお……)

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:56:29.13 ID:UsBIm22f0
しえーん

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:57:05.12 ID:/1bqVjUb0
ロックだなwwwwwwwwww

52 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 22:58:07.54 ID:peSmYiXI0
およそ一分ほど流されたスカトロ音楽は途中で強制終了させられた。
再びマイクのスイッチが入り、ドクオの必死な叫びと教師の怒号が聞こえてくる。
ドッタンバッタンと何かが破壊されたり投げ飛ばされたりするような音が耳を劈いた。

そして最後に、教師の内の一人による息の切れた言葉によって今日のお昼の放送は締めくくられた。

『ええ……聞き苦しい……点が、あったこと……を、お詫び……ブツッ』

一方でブーンは、ハインから逃げるその足で図書室に向かっていた。
今まで書いていなかったが、作中の季節は十一月、つまり秋の終盤戦である。
夏場はエアコンの冷気欲しさに詰めかける生徒連中もいなくなり、
この季節の昼休みの図書館は非常に閑散としていた。

ブーンが図書室に赴く理由は、自らの身体の問題をおいて他に無い。
何しろ、夢を見る度に異世界に放り出されて妙な体験をさせられるのだ。

全世界でなんの理由もなく発症しているこの病を、
医療関係の学者はこぞって解明しようとしているらしいが、目立った成果はあがっていない。
それはそうだろう、ブーンが脳波を検査された時だって、正常すぎるほど正常だったのだ。

それに、この病気は今のところ何の害も及ぼさないのだ。
所詮は夢の中の出来事であり、例えば夢の中で死んだとしても、
しっかり現実世界に戻ることができる。そしてまた眠れば、夢の世界に没入するのだ。

妙なトラウマを夢見て落ち込むことはたまにあるが、
それにしても普段夢で見るのと同じレベルだ。
ただ、ブーン個人としては発症後、夢の内容をより正確に覚えていられるようになった気がしている。

つまりは、それほど治療を急ぐ必要が無いのである。

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:59:28.58 ID:uwEA7YnK0
めでたし めでたし

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 22:59:37.62 ID:KGKc3gxb0
支援

55 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:01:06.07 ID:peSmYiXI0
もっとも、医療業界以上にハッスルしたのはマスコミ連中だ。
この病が発生して以来、バラエティ番組への患者の出演たるや、怒濤の勢いだった。
まだ日本での患者が十人にも満たなかった頃の話である。

ブーンが発症したのはそうしたブームが下火になってきたころだったから、
あまりそういった大衆の獲物にされるというようなことはなかった。
まこと、世間とは飽きやすいものである。

などと書いている間にブーンは図書室の前へ辿り着いた。
中を見ても、思った通り閑古鳥が盛大に啼いている。
受付で図書委員らしい男子生徒が頬杖ついて欠伸しているぐらいだ。

図書室で、ブーンは夢だとか病気だとかの本を読みあさっていた。
フロイトやらユングなども読んではみたものの、
やたらややこしくて高校生の頭ではよく理解できない。
唯一覚えているのは、夢の中に出てくる銃は男性器の象徴であるということぐらいだ。

そして、こういった類の本は往々にして物理的に重たいので、借りないことにしている。
そもそも人気が無い本なので、他者に借りられる心配もあまりない。

ブーンはドアを押し開けて中に入る。
そして読書スペースの先の本棚に向かおうとしたところで、彼の歩行はストップした。

( ^ω^)「……」

読書スペースの椅子で一人の女生徒が本を読んでいる。
黒く長い髪、鋭い瞳は持っている本に視線を落としている。
言ってしまえば美人、黒いドレスではなく周囲に適合するセーラー服。

彼女に見覚えがある。

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:02:26.26 ID:/1bqVjUb0
支援

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:04:01.56 ID:GVqS7FRJ0
支援

58 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:04:30.82 ID:peSmYiXI0
ふと、彼女が首をもたげた。

川 ゚ -゚)「……む」

やはり、あの女だ。夢の中で魔法少女を自称した、彼女。
改めて視線をぶつけると、彼女は圧倒されそうなほどの眼光を携えている。
睨んでいるのでは無いと分かってはいるが、思わずブーンはたじろぐ。

しばらく沈黙した。彼女はブーンを見つめ続けている。やがて言った。

川 ゚ -゚)「ここに来ると思った」

(;^ω^)「え」

川 ゚ -゚)「この本」

閉じた本をブーンに向かって指し示す。よく見ればそれは、
ブーンが昨日途中まで読んでいた本だった。今日続きを読もうとしていたのである。

( ^ω^)「あの……えっと」

ここでどう訊くべきか、ブーンは迷った。
「あなたさっき僕の夢に出てきましたよね?」とは訊けない。キチガイと思われることうけあいだ。
しかし、ブーンの読んでいた本を手渡そうとする辺り、彼女にもブーンに心当たりがあるようなのだ。

( ^ω^)「あなた、は?」

そこで彼女は、予想通りと言うべきか、とてもシンプルな解答を返してきた。

川 ゚ -゚)「魔法少女」

59 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:06:50.66 ID:peSmYiXI0
まずブーンが覚えたのは言いようのない恐怖感だった。
消失したことはともかく、夢の内容までもを彼女が知っているはずがない。
偶然だろうか。そんなはずがない。偶然で「魔法少女」などと口走る女性がいるとは考えたくない。

川 ゚ -゚)「まあ、そう驚くな。とりあえずここに座れ」

彼女は向かいの椅子を指差す。
逃げようか……ブーンは逡巡したが、知識欲がそれに勝った。

(;^ω^)「えっと……あなた、は……その」

川 ゚ -゚)「クーと呼んでくれ。どうも、それが一番都合が良いらしい」

他人事のような口調である。

( ^ω^)「クーさんは、その……魔法……少女、なんですかお?」

川 ゚ -゚)「そうだな」

( ^ω^)「そ、それは一体どういう……」

川 ゚ -゚)「どういう、と言われても困るのだが。私は私を魔法少女だと了解している。
     それ以上、特別な何かが必要だろうか」

( ^ω^)「炎……とか、出せるのかお?」

川 ゚ -゚)「それは、まあ、出そうと思えば出せるだろうな」

あくまでも他人事のような口調である。まるで自分自身を理解していないようだ。
ただ、誰かから与えられた身分『魔法少女』だけを持ち合わせている、少女。

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:07:13.47 ID:9qFPx0g80
支援

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:07:36.02 ID:aEDBuANFO
支援

62 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:09:23.06 ID:peSmYiXI0
突然クーが立ち上がった。静かに歩いて窓辺に立つ。
ふとブーンは、どこぞの文学少女を思い出した。

川 ゚ -゚)「私が何者なのかについて、何故貴様がそれほど問うてくるのかが分からない。
     私は貴様の、ソウゾウだぞ」

( ^ω^)「は?」

そうぞうという言葉をブーンは脳内で変換してみる。
創造……だと、それっぽいが文脈に合致しない。となれば、残る変換候補は、

( ^ω^)「想像……?」

川 ゚ -゚)「そうだ。妄想といっても過言ではあるまい。
     貴様の心に内在するあらゆる欲望とコンプレックスの集合体」

まず、ブーンは思った。これは、予想以上の電波だぞ、と。
つまり彼女はブーンの妄想が具現化したものであるというのだ。
いやいや、そんな都合の良いことがあるわけがない。ラブコメじゃないんだから。

川 ゚ -゚)「……貴様、夢を見ただろう」

( ^ω^)「お……」

川 ゚ -゚)「その中に私が出てきたはずだ。その私が今こうして再び貴様の前にいる。
      ただ、それだけのことだ」

( ^ω^)「だって、あれは夢だから……」

ブーンがそういうと、彼女は鼻で笑った。

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:10:46.88 ID:aEDBuANFO
しえーん

64 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:12:31.21 ID:peSmYiXI0
川 ゚ -゚)「貴様の中ではすでに、夢と現実が曖昧になっているはずだ」

言われてブーンは気付く。
確かにそうだ。夢を見たブーンの身体は現実から消えて異世界に飛ぶ。
つまり、あの時クーの前に立っていた自分は紛れもなく、この身体そのものだったのだ。

( ^ω^)「でも、だからって夢の中の人がこうやって出てくるのは……
      なんていうか、反則だと思うお」

川 ゚ -゚)「……ま、いい。どうせ説明しても貴様には分からないだろう」

なんでこんな言われかたをされねばならないんだろう。
ブーンは静かに憤りを感じていた。
大体、夢の登場人物と言うことはブーンが想像した、ということになるし、
実際彼女もそうだと言っている。

( ´ω`)(なんで自分の想像の産物に見下されてるんだお……)

川 ゚ -゚)「……さて、これからどうしたものか」

( ´ω`)「というか、なんでこの学校の制服着てるんだお?」

川 ゚ -゚)「私がこの世界に出現すると同時に世界が変容した、ということだな」

( ´ω`)「……」

ダメだ、ついていけない。とりあえず、なんかそういうすごい力がぶわーってなって、
そいでもってこの人があーでこーで、まあどうでもいいか。

65 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:14:57.09 ID:peSmYiXI0
( ´ω`)「……ま、とりあえず僕は教室に戻るお」

この手の人種には関わらないに限る。ある日ナイフでザックリと刺されてはかなわない。

川 ゚ -゚)「なんだ、せっかくお前の理想が目の前にあるのに。薄情な」

( ´ω`)「……」

否定は、しきれない。確かに黒髪ロングの可愛いより美人タイプな彼女はブーンの好みだ。
ただそれはあくまで見た目の話であり、正確の問題となるとまた別である。
ブーンとしてはもう少し優しい性格が望ましい。

川 ゚ -゚)「ま、お前の意識とは少し違ってるかも知れないが」

( ´ω`)「どういうことだお?」

川 ゚ -゚)「人間には意識と無意識があるだろう? お前が通常認識しているのが意識、
     認識していないのが無意識だ。そして、無意識にも思考が存在する」

何を馬鹿な、と彼女を見るが。相変わらず彼女の双眸は鋭い眼光をたたえている。

川 ゚ -゚)「意識に欲望があれば無意識にも欲望がある。
     お前の中にある二種類の欲望が合成して出来た想像物、それが私だ」

( ´ω`)「……」

さっぱりわからないが、まあこういうことだろう。
ブーンの無意識は、限りなくドMだと。

66 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:17:43.02 ID:peSmYiXI0
川 ゚ -゚)「それに、貴様が私から離れることは不可能だぞ。逆も然りだが。
     私はあくまで、貴様の想像なのだからな」

今更ながら背後からの図書委員の視線が痛い。
「うわやべえwww電波が二人もいるwwwwプゲラッチョwwwwwww」とか思ってるに違いない。

( ´ω`)「……消えないのかお?」

川 ゚ -゚)「無理だな。貴様の記憶にあるうちは」

出来るだけ忘却の彼方へ追いやりたいが、
意識すればするほど彼女の存在が色濃く刻まれるだろう。記憶なんてそんなものだ。

( ´ω`)「……」

川 ゚ -゚)「……まあ、そうだな。一つ教えておく」

( ´ω`)「なんだお?」

川 ゚ -゚)「貴様は私のことを……ひいては無意識のことを甘く見ているかも知れない、だが」

クーが窓辺から歩み寄ってくる、そしてすれ違いざまに、小さく言った。

川 ゚ -゚)「無意識を舐めるな」

ギャグかよ、と思ったが口には出さない。

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:19:44.40 ID:GVqS7FRJ0
支援

68 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:20:43.90 ID:peSmYiXI0
ここで時間軸が吹っ飛び、放課後。

ブーンとドクオは並んで帰宅の途についていた。

('A`)「お、どうしたブーン。六十代のクリトリスみたいな顔しやがって」

( ^ω^)「それよりもドクオ、よく帰ってこれたお」

何しろ昼休みに校内全域にスカトロAVの音を響き渡らせたのだ。
悪くすれば停学程度の処置を受けるだろうとブーンは考えていたが、
五時間目が始まる頃にはもう、ドクオは教室に戻ってきていた。

ドクオはおもむろにピースマークをブーンに向け、言った。

('A`)「……二本だ」

( ^ω^)「はい?」

('A`)「奴ら教師どもを黙らせるには……人差し指と中指、それだけでいい。
    それだけで……フィニッシュだ」

( ´ω`)「何をしたんだお……」

('A`)「駆けつけた教師が男ばっかりで助かったぜ。男は、男の快感ポイントを理解しているからな」

そういえばこいつ、この前「俺は童貞だが処女じゃない」とか言ってたなあなどと、
ブーンは余計なことを思い出した。

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:21:21.42 ID:9qFPx0g80
支援

70 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:23:06.13 ID:peSmYiXI0
('A`)「で、どうしたんだよ。老いたクリトリス」

( ´ω`)「ん……まぁ、その」

クーのことについてドクオに話したって無駄だろう。
こいつのことだ、どうせ性的解釈しかするまい。
ブーンが「なんでもない」と首を振ろうとしたとき、その首が誰かの腕によって力強く固定された。

从 ゚∀从「ぶ・う・ん」

次いで、聴くに堪えない猫なで声。
ハインだな、と気付いた頃にはもう、ブーンの意識は断絶しかけていた。

( ゜ω゜)「くけ……きょっ」

必死に彼女の腕を叩いてギブアップを告げるブーンに、
ようやくハインはヘッドロックしていた腕をといた。
解放されたブーンは、これでもかとばかりに息を吸い込む。

从 ゚∀从「まったく、ちょっと目を離したらいなくなるんだから、困るぜ」

そういえば、昼休み彼女から逃げ出したのだった。

从 ゚∀从「ま、慰謝料はお前の夢の話ってことにしといてやるよ」

( ´ω`)「むしろこっちが慰謝料欲しい从 ゚∀从「なんだ?」なんでもないです」

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:23:16.18 ID:aEDBuANFO
しえーん

72 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:25:29.36 ID:peSmYiXI0
覚悟を決めて話そうとしたとき、ブーンは名案を思いついた。
むしろ、彼女にクーのことを話してみてはどうだろう。
ブーンにもよくわからない現象であるから、彼女のほうが有用な答えを考えつくかも知れない。

( ^ω^)「えっと、ハイン。夢よりももっと面白い話があるお」

从 ゚∀从「……お、そりゃああれか。お前の力に関係する話か」

( ^ω^)「勿論だお」

从 ゚∀从「聞かせろっ」

ハインが隣に並んでぐいっと顔を近づけてくる。
筋肉質でもないのに力が強いライトノベル系キャラだから、当然顔も可愛い。

かくかくしかじか、とブーンは彼女に説明する。描写はしない。

从 ゚∀从「……ふうん、なるほどな」

ハインが神妙な顔つきで何度も頷き、携帯を取り出して何やら操作している。
どうやら、今ブーンから聞いた話をメモしているようだ。

それにしても、予想以上に簡単に信じたなあとブーンは思った。
学者気質ならば、もう少し疑うかもしれないと考えていたが。

从 ゚∀从「簡単に信じたな、とか思ってるだろ」

(;^ω^)「え、いや、そんなことは」

73 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:28:06.08 ID:peSmYiXI0
从 ゚∀从「これでも一応お前の彼女だぜ。そこそこのことは分かってるさ」

( ^ω^)「……」

从 ゚∀从「お前が俺に嘘をつくなんてことはしねえよ。
      第一、そんな度胸がない」

(;^ω^)「……」

案外見透かされていたのだと知って、ブーンはちょっと凹んだ。同時に、少し嬉しくもある。
そもそも、彼女がブーンに接近した動機は確かに不純だが、
接近して以降はブーンもそれなりにいい思いをさせてもらっている。

話してみればそこそこ話が合うことも分かったし、何より可愛い。
殺意の視線に対しても優越感が持てる。

从 ゚∀从「よし……それじゃ、俺先に帰るわ。色々調べてみたいしな。
      また明日な、ぶ・う・ん」

あとは、その猫なで声が逆効果だと分かってくれればいいのだが。

駆け去っていくハインを見送り、ブーンは溜息をつく。

('A`)「……ふむ」

今まで黙っていたドクオが呟いた。

('A`)「つまりお前は、そのことについて悩んでいるわけだな?」

74 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:30:17.76 ID:peSmYiXI0
( ^ω^)「まあ、そうだお」

('A`)「ふうん……でもまあ、確かに奇妙な話だわな。
    俺も、特殊夢遊病でそんな症状が出るなんて聞いたことねえし、
    第一出るんだったらもっと世間が大騒ぎしているはずだ」

( ^ω^)「うん……」

('A`)「そもそも何もないところから人間がポッと出ちゃいけねえよな。
    それに、お前の意識だか無意識だかから出てくるのが、そいつ一人とは限らねえわけだし」

( ^ω^)「……」

('A`)「よし、俺も少し調べて……どうした?」

( ^ω^)「いや、なんというか、その。やるときはやってくれるんだなあ、とか」

('A`*)「当たり前じゃねえか……お前のためだぜ、ぶ・う・ん」

( ^ω^)「お前の猫なで声は猫じゃなくてゴキブリだからやめろお」

頼りになる人たちだ、とブーンはこっそり思う。
一方で何かが欠落してる二人ではある。そもそも完璧など存在しないだろう、厨二病的にも。

とりあえず自分でも調べられることは調べようとブーンは決意した。
何か、妙な不吉感を覚えて仕方がないのである。

というような、続きを示唆するありがちな記述をしたところで第一話が終了する。

第一話『限りなく想像に近い実在』終わり

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:30:33.63 ID:aEDBuANFO
支援

76 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:32:23.63 ID:peSmYiXI0
以上第一話

少し後から以下第二話

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:33:12.32 ID:/1bqVjUb0
ひとまず乙

78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:34:21.18 ID:5QZhtixr0
ひとまず乙
想像の斜め上だったぜ

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:35:43.54 ID:aEDBuANFO
ひとまず乙
最初の方見た時はまた劣化ガンファイターかとおもったがまさか夢だとは

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:38:18.29 ID:9qFPx0g80
ひとまず乙乙

81 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:39:07.92 ID:peSmYiXI0
第二話『ネガティブアンハッピー・出刃包丁エッヂ』

前話にてクーの存在と自らのより詳しい身体状況を調べることを決意したブーン。
しかし彼如き高校生に出来ることなどあまりにも少ない。
とりあえず父親のパソコンを無断使用して検索してみたりもしたが、
出てくる情報はすでに常識となっていることや、あまりに突飛なうわさ話ばかりである。

早々に飽きたブーンがマインスイーパに勤しんでいると、夕食を告げる母親の声が聞こえてきた。

日常が通過して、夜中になる。

ごく普通の高校生であるブーンが明日の予習などという真面目なことをするはずもなく、
夜中は大抵マンガを読んだりゲームをしたりして過ごす。
たまに宿題があればそれをこなすが、ほとんど適当である。

今日もいつも通りベッドの上でマンガを読んでいると、机の上の携帯電話が音を立てて震えた。

( ^ω^)「……おー」

呻くような声を出してブーンはのそのそと携帯を掴む。
メールが一件。開いてみて、ブーンの目は点になった。

『もしかして私のこと嫌いになった?』

( ^ω^)「……は?」

82 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:41:34.12 ID:peSmYiXI0
どうも病的なにおいのする文章である。
送信元を確認する。そこには登録名として『しぃ』と書かれていた。

( ^ω^)「……?」

しぃという名前をブーンは心の中で何度か反芻する。
しかし、何度繰り返してもその人物に関する記憶が出てこない。

だが、登録名が表示されていると言うことは間違いなくブーン自身が登録したということである。
彼は今時の高校生なので、そこそこ前から携帯を親から与えられている。
彼は引き籠もりではないので、そこそこの名前がアドレス帳に登録されている。

しかし、だからといって自分で登録した人物を完全に忘却してしまうだろうか。
購入当時は喜び勇んで周囲の人間にアドレスを聞きまくったが、もしやあの時か。

( ^ω^)「んー……ん……ううん……?」

数分考えてブーンは、とりあえず無視することにした。

知らぬ人間からの第一声が『私のこと嫌いになった?』である。
恐ろしい恐ろしい。関わらないに限る。

携帯を机に放り、再びブーンはマンガに没頭した。
しかしそれからすぐに眠気がやって来たため、大あくびと共に電気を消す。

眼を閉じると、彼はすぐに寝息を立て始めた。

83 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:43:55.62 ID:peSmYiXI0
ここで彼は夢を見始める。
前話で説明したとおり、夢を見ている間、彼の姿は現実世界から消滅する。
クーの話から考えてみる限り、彼は身体ごと夢の世界に立たされたということになるだろうか。

まぁ、とにかくブーンは今夢の中にいる。
目の前に古びた木製の扉があり、それ以外には何もない。
何もないといっても、彼方に地平線が見えるとかそういうことではなく、本当に何もないのだ。

だからブーンには目の前の扉を開く以外に選択肢はない。

この夢において、ブーンは自分を自分だと認識している。
すなわち、彼は彼の意思で行動することが出来るのだ。
とはいえ、覚醒するときは半強制的に目が覚めてしまう。
夢は基本的に主観的時間軸で動くから普段より時間を長く感じることは往々にしてあることだが、
それでもいつかは終わりが来るのだ。

しばらく立ち竦んだ後、ブーンは目の前の扉に手を掛ける。
押し開けると、軋んだ音とともに室内の空間が広がった。

教室の半分ぐらいの広さがある部屋の真ん中に、大きな机が設置されている。
それを囲むように椅子が並べてあり、今そこで一人の人物が座ってノートパソコンと対峙していた。

( ・∀・)「……おや」

彼はブーンに気付いて顔を上げた。
どこかで見た覚えのある顔だが、思い出せない。

84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:45:28.03 ID:9qFPx0g80
支援

85 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:46:04.56 ID:peSmYiXI0
( ・∀・)「初めてお会いしますね。ようこそ」

男は立ち上がり、気さくな様子でブーンに握手を求めた。

( ・∀・)「私の名前はモララーと言います。以後、お見知りおきを」

モララー……その名を聞いてようやくブーンは思い出す。
彼は、そうだ、特殊夢遊病患者としてテレビに出演していたのだった。
(馬鹿)丁寧な言葉遣いが印象に残っている。

しかし、彼が夢に出てくるとは思いもしなかった。
まあ、記憶に存在していると言うことはいつ夢に出てきてもおかしくないのだが、
所詮テレビ番組の登場人物の一人で、大して興味深くもなかった人間が出てきたのだ。
こんな経験は今まで一度も無い。
普段出てくるのは全くもって見覚えの無い人物か、或いは印象深い知り合いばかりである。

テレビ番組の出演者ならば、
お気に入りのグラビアアイドルなどが出てきてくれた方がよっぽど嬉しい。

などといった思考を織り交ぜた複雑な表情をブーンがしていると、
モララーはその顔をのぞき込みながら、愉快そうに一笑した。

( ・∀・)「どうも、あなたはまだ理解しきれていないようです」

( ^ω^)「どういうこと……ですかお?」

( ・∀・)「ここは、貴方の夢の世界では無いのですよ」

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:47:45.01 ID:/1bqVjUb0
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87 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:48:52.51 ID:peSmYiXI0
別に夢の中で今更何を言われてもブーンは驚かない。
だから、モララーにそう言われてもさほど動じなかった。
とりあえず訊いてみる。

( ^ω^)「僕の夢の世界じゃないって、どういうことですかお?」

( ・∀・)「集合的無意識という言葉をご存じですか?」

( ^ω^)「……?」

( ・∀・)「ユングという人が提唱した分析心理学の中心概念です。
      人間の無意識、その深層に存在すると言われている、
      個人の経験を超越した先天的な構造領域のことです。
      例えば、人が見る夢や空想には一定の典型的なイメージが存在すると言われますが、
      これには集合的無意識が関係していると言われています。
      ある種、人間の意識の基盤と言えるのかも知れません。
      もっとも、この基盤も民族や人種によって種類が異なると言われていますが」

( ^ω^)「……」

( ・∀・)「しかし、これは所詮ユング派の主張であって、
      実際に集合的無意識の存在が確かめられたわけではありません。
      絶対に無理ですからね、そんなことは。
      この手の学問には複数の派閥が存在していて、当然集合的無意識を、
      引いてはユング自体を否定する人も数多く存在します」

この時ブーンが思っていたことは、「あー、早く覚めないかな、この夢」ぐらいのことだった。
大体、睡眠とは安らぎを得られる場のはずである。
何故にその場所でこんなめんどくさい理論を教えられなければならないのか。

88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:50:14.47 ID:aEDBuANFO
しえーん

89 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:51:28.24 ID:peSmYiXI0
( ・∀・)「さて、そこでこの空間の話に戻るのですが」

まだ話すつもりかよ、といい加減ウンザリし始める。

( ・∀・)「集合的無意識は普遍的無意識とも呼ばれていますが、
      ユングによれば、これは誰しもが持っているものです。
      つまり、ここに人間同士の深い繋がりを見いだしたわけですね。
      そして先にも言ったように、この集合的無意識は夢や空想で見いだされます。
      すなわち、ここは集合的無意識です」

(;^ω^)「ほえ?」

自然とそんな声が出てしまった。何が言いたいのかさっぱり分からない上に、
どうも結論がこじつけすぎる気がする。気がするだけなので、上手く反論も出来ないのだが。

(;^ω^)「あの、すみません……もう少し、分かりやすく言ってもらえますかお?」

( ・∀・)「ううん、すなわち、ここは貴方の夢でもありますが、私の夢でもあるということですね。
      複数の夢が、この空間を通してリンクしているわけです」

( ^ω^)「……」

( ・∀・)「えっとですね……」

ここからまたモララーの長台詞が始まるのだが、口語体だと無駄に分量が増えるので、
以下三行で記述する。つまりこういうことだ。

・ここは夢を見ている人物が偶発的にやって来てしまう空間。
・今のところ、やって来るのは特殊夢遊病患者のみ。
・集合的無意識について長々と説明したが、実際そこまで関係無い。ペダンティックとかそういうの。

90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:53:01.92 ID:UsBIm22f0
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91 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:54:45.02 ID:peSmYiXI0
( ^ω^)「……」

とりあえず理解は出来たが、納得はしない。
何しろ全てが夢であるという可能性も捨てきれてはいないのだ。

( ・∀・)「ま、最初は信じられないかも知れませんが……きっとまた、
      ここにやって来ることになると思いますよ。私だってそうです。
      もう何度目も、偶然にここへ足を運ぶことになっています」

改めてブーンは内装を眺望してみる。
大仰な説明をされたが、どうもそれにはそぐわない貧相な部屋だ。

( ^ω^)「ここには、いろんな人が来るんですかお?」

( ・∀・)「そうですね。私がお目にかかった限りでは十数名……。
      もっとも、私だっていつもここに来れるわけではありませんから、
      実際にはもっとたくさんの人が出入りしているのでしょう」

( ^ω^)「みんな、ここで何をするんですかお?」

( ・∀・)「適当に喋ったりするような……ま、チャットルームみたいなものですよ」

( ^ω^)「チャット……」

( ・∀・)「ええ。見ず知らずの人たちが集まって適当に喋り、適当に引き上げていく。
      ここは、今のところそれだけのための空間ですね」

一呼吸置き、ですが、とモララーは続ける。

( ・∀・)「それだけのための空間だとは、思えませんけどね」

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/22(月) 23:55:38.30 ID:aEDBuANFO
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93 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/22(月) 23:58:12.72 ID:peSmYiXI0
モララーは再び自分の座っていたパソコンの前に戻っていく。
ブーン一人取り残されてしまったわけだが、正直何もすることがない。
室内には机椅子壁ノートパソコン以外に何も無いのだ。

なのでモララーに寄っていく。

( ^ω^)「何してるんですかお?」

( ・∀・)「ああ、インターネットで遊んでるんですよ」

脳内にインターネットがあってたまるか。
そう思いながらも、とりあえず話を合わせておく。

( ^ω^)「インターネット……」

( ・∀・)「ええ。ただ、どうも私たちの世界に存在するウェブとは違うようなのですがね。
      こう、上手くは言い表せないのですが……違和感、というものが」

( ^ω^)「ふうん……」

ブーンはディスプレイを覗いてみる。
馴染みのインターネット・ブラウザにウェブサイトが表示されている。
内容を読んでみるとそれは、どうやら小説投稿サイトのようであった。

( ・∀・)「ここは、誰でも自分の書いた小説を発表できる場なんですよ。
      それぞれの作品をそれぞれが批評し合うことで自らを高めていく、というような感じですか」

( ^ω^)「モララーさんは、小説書くんですかお?」

94 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:00:16.48 ID:NAyDS5cH0
( ・∀・)「……まあ、少し目指しているものがありましてね。
      現実世界でも暇を見つけてはちょくちょく書いていたりするのですが、
      ここでも書いてみようかな、と。もっとも、ここにいつ来れるかが分からないので、
      完成できるかどうかも分からないのですけれどね」

( ^ω^)「……それって、少し危なくないですかお? なんというか、
      もしかしたら全部無駄な作業だったのかもしれないし……」

( ・∀・)「そうですね。来る度に書いて、そしてこのパソコンに保存するようにはしているのですが。
      でも、まあなんでしょう。せっかく与えられた場ですからね。活用しない手は無いかと」

なんとなくだが、ブーンは思う。
彼はほとんど確信しているのだ。目の前にあるインターネットが、この世界のものではないと。
全くの同一であれば、わざわざここで書く必要があるはずもない。

( ・∀・)「USBメモリでも持って来れればいいんですけどねえ」

からからと笑ったモララーは思い出したように「そういえば」と言った。

( ・∀・)「適当にここから出ないと、現実で大変なことになりますよ」

( ^ω^)「え、どういうことですかお?」

( ・∀・)「ここの時間は主観的では無く客観的に流れていきます。
      まあ、複数の人物が共在しているわけですから当然ですけれど……。
      だから、十数時間もここにいれば、ご家族などに心配されます」

95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:02:20.09 ID:WCXJZjRaO
面白いな
最初はわけわからなかったが…
支援

96 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:03:29.53 ID:NAyDS5cH0
(;^ω^)「……夢から醒めないってことですかお?」

( ・∀・)「まあ、そうですね。そもそも今私たちが実際に睡眠しているかどうか……?
      それ自体、とても怪しいですよ。何しろ私たちの身体は現実世界から消えてますし、
      それに、この空間から目覚めたときの疲労度といったら、
      まるで一睡もしていないかのようなのです」

(;^ω^)「……そ、それってまずくないですかお?」

( ・∀・)「ええ、とても」

不意に「まっがーれ」という言葉が頭に浮かんだが、多分何の関係も無いだろう。
それにしても、モララーの飄々とした口ぶりが癪に障る。
ブーンの苛立ちを感じ取ったのか、モララーはまた軽く笑って首を横に振った。

( ・∀・)「ああ、大丈夫ですよ。この空間においてのみ、確実に覚醒する手段がありますから」

言いながらモララーは、この部屋の唯一の出入り口である扉を指差す。

( ・∀・)「あの扉から外へ出ればいいのです。それだけで、現実に戻ることが出来ます」

( ^ω^)「……ほんとですかお?」

( ・∀・)「なんなら、試してみれば良いと思いますよ。
      もっとも、一度出てしまうと次にいつ来れるか分かったものではありませんが」

97 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:05:39.58 ID:NAyDS5cH0
ブーンは振り返ってつくづく扉を眺めた。
何の変哲もない扉。その外に広がる空間を、ブーンはよく認識していなかった。
ここが沢山の意識が集まる場所だとすれば、外側に確かに存在した空間は、
一体なんなのだろうか。

もしや、とブーンは身震いする。
自分は、何か取り返しの付かない場所への扉を開いてしまったのか。

モララーが嘘をつく理由は無い。
そう言い聞かせて、ブーンは扉に駆け寄った。

( ・∀・)「また……」

モララーの声が後ろから聞こえてくる。

( ・∀・)「会えると、良いですね」

ブーンは振り返らず、目の前の扉を急いて押し開けた。
外側には何も無い。あくまでも観念的な表現しかできないが、そこには何もないのだ。
時間が流れているのか、そもそも空間が広がっているのかも定かではない。

意味不明なものは意味不明なままで放置しつつ、ブーンは足を踏み出す。
その時、ブーンは夢の中で初めて現実的な恐怖を覚えた。

瞬間、景色が移り変わって真っ黒な天井が視界に映る。

98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:08:08.09 ID:koBnrUM00
しえん!

99 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:08:16.60 ID:NAyDS5cH0
そこは自室だった。確かにブーンは現実に戻ることが出来た。いや、現実だろうか。

不意にドラえもんの「うつつまくら」という秘密道具を思い出す。
見た夢が現実になるという道具で、それを使ったのび太は、
自分が天才である夢を現実にした。
それから紆余曲折あって、結局のび太は世界を元に戻すことを決意し、
もう一度うつつまくらで眠る。
目を覚ました世界でドラえもんは言う。「え、そんな道具知らないよ」と。

一旦読んだ時は笑ってそれで終いだったのだが、今思い返せば背筋が凍る。
果たして今覚醒しているこの場所は夢幻か現か。

言いようのない不安を感じてブーンは部屋の電気を点けた。
変わらない室内。消えているものも現れているものも見当たらない。

時計を見ると、ちょうど日を跨いだところだった。
就寝時刻からあまり時間は経過しておらず、
モララーの言っていた、あの部屋と現実世界の時間経過が同一のペースだという話は、
やはり真実なのかもしれない。

頭が酷く痛い。眠気を通り越した頭痛だ。
中途半端に眠ったからか、本当は今まで一睡もしていなかったからなのか。

大きな震動音が響き、仰臥しているからだが大きく跳ねた。
携帯のバイブレーションだと気付くのに少し時間がかかる。

(;^ω^)「な、なんだお。メールじゃないかお。おどかすなお」

不必要に声を出し、携帯を手に取る。
ディスプレイに、新着メール四十九件と表示されている。

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:09:23.10 ID:liRtWdDg0
追いついたwktk

101 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:10:38.16 ID:NAyDS5cH0
( ゜ω゜)「よんじゅええええええ!?」

四十九件。四十九件て。

真っ先に思い浮かんだのはドクオの顔だ。

('∀`)「オキニのビキニ着てみたんだけど、どお?」

的なメールが四十九件。
M字開脚、雌豹のポーズ、だっちゅーのその他諸々のドクオパラダイス。有り得る。

或いはハインだろうか。

从 ゚∀从「ほうら、おっぱいだぞ。金は、後払いでいいからな」

的なメールが四十九件。
一枚五百円、いや、一枚千円かもしれない。四十九枚で四万五千円。有り得る。

そんなどうでもいい想像は、ブーンの高ぶった精神を落ち着かせる作用をした。
いつしか顔もほころび、他人が見ていたら「ニヤニヤすんなきめえ」などと罵られていたに違いない。

メールの数を見た、その時まではブーンの頭に悲観的な考えは皆無だった。
だが、その内容を読んだときブーンは再び戦慄する。

全てが同じ送信者であるというブーンの推測は正しかった。
ただ、その送信者の名がしぃであることは、少なくとも彼にとって予想外だった。

102 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:13:11.15 ID:NAyDS5cH0
『メールしてよ』『ねえ』『寝たの?』『はやく』『寂しい』『電話していい?』『メール返してよ』
『まだ?』『待ってるんだけど』『電話でもいいよ』『かけていい?』『返事ぐらいしてよ』
『嫌いなの?』『まだ寝てないよね?』『私の気持ちも理解してよ』『今日何曜日だっけ?』
『明日数学の朝補習あったっけ?』『電話するね』『どうして出てくれないの?』
『私にも都合があるんだけど』『大好きだよ』『愛してる』『愛してるよ』『好き』『返事して』
『逃げるつもり?』『逃がさないよ』『死にたい』『親ウザい』『私、一緒じゃないと生きていけない』
『私たち二人以外みんな死ねばいいのにね』『外うっさい』『見て、綺麗に切れたよ』
『まだ電話でない気?』『ほんとに寝てる?』『ねえ、寂しい』『重たくてごめんね』『返事して』
『返事来るまでずっとメールするから』『拒否っても無駄だよ』『私、逃がさないから(笑)』
『どうして理解してくれないの?』『かけるね』『起きろよ』『眠い』『まだかなあ』『早くー』
『ずっと一緒にいようね』

絵文字や顔文字、添付されたリストカット画像などを省略すれば、
上記のような内容のメールが四十八通(順不同)。
そしてついさっき届いたメールには、

『会いに行くね』

と書かれていた。
ほとんど全てが一言メールであるのは、およそ一分に一通という送信ペースだからだろう。

勿論これら全てにブーンが目を通したわけではない。
彼が読んだのは五通程度である。しぃという女の脅威を知るならばそれで十分だった。

今のブーンにとってはこれらの文字列全てが恐怖でしかない。
しかし何より怖れるべきは、ブーン自身にしぃという女を全く知らないということである。
道端でチンピラに因縁をつけられる以上に理不尽だ。

それに、会いに行くということはつまり、少なくとも彼女の方は、
ブーンの元に行くことが出来るほどには知っているということなのだ。

103 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:16:25.24 ID:NAyDS5cH0
手の中で再び携帯が震えだし、ブーンは慌てて机の上に投げつける。
着信拒否をするという考えが、この時のブーンの頭にはなかった。
必死の形相で布団に潜り込む。お化けを怖がる幼稚園児のような仕草だった。

まさか会いにくるなんてことはあるまい、とブーンは自分に言い聞かせる。
脅しだ。脅しに決まっている。何故脅すのかはわからないが、脅しなのだ。そうだ。そうに。

彼は眠ろうと努力するが、努力すればするほど目が冴えていく。
かといって深夜、このまま起きていることには耐えられそうもない。

行間。

行間。

行間。

どれほどの時間が経っただろうか。
ようやくうつらうつらし始めたブーンの耳を、大きな破壊音が劈いた。

ブーンは跳ね起きる。窓ガラスが粉々に粉砕され、
出来上がった穴から今まさに何者かが室内へ侵入しようとしていた。

( ゜ω゜)「だ、誰だお!?」

叫び声にも侵入者は反応しない。床に降り立つと、彼(彼女)はゆらりと立ち上がった。
その背後には巨大な月が煌々と照り輝いている。
シルエットだけが浮かび上がり、顔を判別することが出来ない。
だが、どうやら長髪らしいので恐らく女性だろう。

104 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:19:03.46 ID:NAyDS5cH0
( ゜ω゜)「あ、わ……し、し……しぃ……?」

彼にはそれ以外の人物が考えられなかった。すでに決めつけてさえいたのだ。
ブーンの問いに侵入者は無言のままだった。
だが、ブーンは感覚的に理解した。彼女が口角を吊り上げて笑ったことを。

彼女の右手がギラと光る。見るとその手には立派な出刃包丁が握られていた。

「会いに来たよ」

声が脳幹に響き渡る。
ブーンは逃げようと試みるが後ろは壁だ。逃げられない。
彼女はゆっくり、ゆっくりと近づいてくる。

「どうして今までメール返してくれなかったの?」

「私、こんなに貴方のことが好きなのに」

「死んで、一緒になろっか」

この時ブーンの頭は、限りない絶望感とどうしようもない恐怖心、
そして「やっぱヤンデレとかそういうのは二次元だけでいいなあ」という。
意味不明な冷静さが入り交じった、自分でも理解できない思考で混雑していた。

その間にも彼女=しぃは接近してくる。
ベッドのそばまで辿り着いた時、彼女は思いきりよく包丁を振り上げた。

ブーンが悲鳴をあげると同時に刃が頭頂部に突き刺さった。
それでも彼は死なず、代わりに目覚めた。

105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:19:39.15 ID:koBnrUM00
支援

106 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:22:34.95 ID:NAyDS5cH0
( ´ω`)「……」

翌朝。教室。
ブーンは机に突っ伏して半睡状態で夢現を彷徨っていた。
結局昨夜は一睡も出来なかった。いや、しぃに襲われるという夢を見たから、
眠ったことは確かなのだが、あれは睡眠のうちに入るのだろうか。

包丁を突き刺されて目覚めたとき、ブーンは高校受験に合格した時以上に安堵した。
だが、全ての問題が解決したわけではない。
新着メールは順調に増加し、只今二百五十三通にまで到達している。
着信履歴もしぃの名前で埋め尽くされてしまっていた。
着信拒否も考えたのだが、そうすれば本当に会いに来るかもと思い、どうにも踏み切れない。

('A`)「どうした、過呼吸のマラみたいな顔しやがって」

ドクオが話しかけてくる。

( ´ω`)「ドクオ……」

('A`)「ん?」

( ´ω`)「本当にお前のビキニ画像だったらよかったのに……」

('A`;)「な、何故俺が昨日紐ビキニ買ったの知ってるんだコラァ!」

( ´ω`)「……」

('A`)「ほら、もうすぐ誕生日なんだよ。俺のトーチャン」

( ´ω`)「トーチャン?」

107 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:24:09.14 ID:NAyDS5cH0
('A`)「でさ、調べてきたぜ、色々。お前のこととか、図書室の女とか」

ああ、そんなこともあったなあなどと思いながらブーンは頷く。
モララーとしぃのおかげで綺麗さっぱり忘れてしまっていたのだ。

('A`)「……ま、有益な情報は無かったな。どれもこれも、信用に値しない」

( ´ω`)「まあ、そんなもんだろうお」

嫌な予感がする。ブーンは無意識的に物語のテンプレートを思い出していた。

('A`)「でもな、俺のマラが囁いてるんだ」

正夢というものがある。ブーンはそれを、物語上でしか知らず、
実際に自分が見たことも無ければ、他人が見たという話も聞いた覚えがない。

('A`)「そもそもお前の言うみたいに、妄想が現実になって出てきたら、大騒ぎになるだろ?」

( ´ω`)「……」

夢は所詮夢でしかない。だが、フィクションなどではよく正夢や予知夢が登場する。
嫌な夢、気になる夢を見れば、それはほぼ確実に現実と化すのだ。
ましてやブーンは夢に関する病気を患っている。

('A`)「だからさ、これはまだ、お前一人だけの能力なんじゃねえかなって」

これほど胸騒ぎのする夢を見たのは初めてだ。正夢でない証拠などどこにある。

108 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:26:47.37 ID:NAyDS5cH0
意識せずとも時間は流れて昼休み。

そういえば、夜を越して以降、しぃからのメールや電話は一切無い。
携帯電話は静かなままである。

ブーンはただ悩み考えていた。
予測はすでに確信として脳内で凝固している。
しぃは近いうち、必ず目の前に現れるだろう。そしてその手には出刃包丁が握られているはずだ。

('A`)「さて、メシ食うぞ、メシ」

ドクオがパンの入った袋を抱えてやってくる。今日はスピーカーから音楽が流れてこない。
ドクオの乱入を懸念したか、放送部員がショックで立ち直っていないかのどちらかだろう。

その時、ようやくブーンの頭に案が思い浮かんだ。

( ^ω^)「ドクオ」

('A`)「ん、どうした。露出大会か?」

( ^ω^)「……ちょっと、ついてきてくれないかお?」

('A`*)「やん、ブーンったらぁ……お・ま・せ・さ・ん」

( ´ω`)「……」

顔を赤らめてもじもじしているドクオを無視して、ブーンは教室を出る。
目指す場所は図書室。彼女に、会いに行くのだ。

109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:29:36.24 ID:WCXJZjRaO
支援しまくるよ

110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:29:50.56 ID:xtvdmYovO
しえーん

111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:30:30.74 ID:koBnrUM00
支援!

112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:36:35.37 ID:WCXJZjRaO
サル?

113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:44:29.87 ID:xtvdmYovO
ナンテコッタイ

114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:44:30.28 ID:y7rWkNEDO
支援

115 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:46:58.74 ID:NAyDS5cH0
廊下は行き交う生徒達で賑わっている。
その中をブーンは早足で歩いていく。

('A`)「ぶ、ブーン。でもさ、俺、さっきオナニーしたばっかだから、
    あまりこう、精子的なものが出てこないかもしれないs」

( ´ω`)「いつオナニーしたんだお……」

('A`)「数学教師の尻がいつもより張りがあって。そのう」

言うまでもなく数学教師は男性だが、そんなことはどうでもいい。

('A`)「わかってるよ。あれだろ? 図書室に行くんだろ?」

( ^ω^)「……」

('A`)「当人に訊くのが一番だからな。他に調べようが無いし。
    とりあえず彼女が昨日いた図書室に行ってみるわけだ。
    で、色々聞き出してみる。昨日は途中で彼女いなくなっちゃったわけだし。
    散々問いただして、で、そのまま流れるように3Pへ」

( ^ω^)「最後ちょっと違うお」

ともあれ、ドクオは一応正しい認識をしているらしく、説明する手間が省けた。
渡り廊下を歩く。人通りが少なくなり始める。

そして図書室がある校舎へ入ろうとした時、ブーンは行く手に直立する女子生徒を発見した。

116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:47:27.30 ID:WCXJZjRaO
サルか寝落ちっぽいな
面白かったから続き書いてほしいわ

117 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:50:33.70 ID:NAyDS5cH0
嫌な予感しかしない。ブーンは歩みを止める。

('A`)「ん、どうした、ブーン」

( ^ω^)「……」

目の前の彼女はまっすぐこちらを眺めている。
両手を後ろにやっており、所謂「休め」の恰好で突っ立っているのだ。
後ろ手に何を持っているかは定かでない。

('A`)「……お、痩身のカワイコ」

不意にポケットの携帯が震えた。
彼女を窺いながらゆっくり手を突っ込み、取り出す。
新着メールが一件。内容は、もうほぼ予想出来ている。

はたして、そのメールには書かれていた。

『やっと会えた』

ブーンがその文面を読んだ直後、目の前の彼女=しぃが、
携帯電話をポケットにしまいながら、凄まじい高笑いを響かせた。

118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:50:59.87 ID:hagmIsuj0
支援

119 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:53:28.51 ID:NAyDS5cH0
(*゚ー゚)「ブーン」

彼女はブーンの名前を呼んだ。やはりブーンを知っているのだ。
だが、その顔を見てもやはりブーンには覚えが……いや、ある。
一昨日の夢。だとすれば、彼女もクーと同様に。

(*゚ー゚)「ずっと、探してたんだよ」

ゆっくりと歩み寄ってくる。靴音が響く。三人以外、周りには誰もいない。
顔には接着剤で貼り付けたかのような笑顔。ピクリとも動かない表情にはある意味感心する。

(*゚ー゚)「いっつも、一人でどこか行っちゃうんだから……」

( ^ω^)「あの」

(*゚ー゚)「……なあに?」

( ^ω^)「しぃさん……ですかお?」

(*゚ー゚)「知ってるくせに」

( ^ω^)「ええと、あの、多分しぃさんは、勘違いしてるんだと思うんですお。
      なんていうか、その、僕、しぃさんのこと何も知らないし……」

一体何を話しているんだというような顔でドクオが二人を眺める。
ブーンは彼女を説得しようと躍起だ。ここで逃げても、いずれ彼女はまた現れるだろうから。

彼の言葉に、しぃは立ち止まった。そして、キョトンとした顔でブーンを見つめる。
何かを考えているようには見えない。白痴じみた顔に純粋そうな瞳だけが光っている。

120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:57:56.33 ID:GISevigQ0
支援

121 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 00:57:56.88 ID:NAyDS5cH0
(*゚ー゚)「そう」

やがてしぃは言った。誤解が解かれたようには、とても思えない声色で。

(*゚ー゚)「そうするんだ。ブーンは、全部忘れたことにしたいんだね」

やはり無理だ。精一杯の冷静さが崩壊しそうになる。
今にも逃げ出したい。だが、背中を向けた瞬間に死にそうな気がする。

(*゚ー゚)「他に、好きな女の子が出来たの? それとも私のことが嫌になった?
     なんで何も言わないでどこかに行っちゃったの?
     こんなところまで。ここまで、すごく頑張ったよ」

さらに歩みを進める彼女。リストカット傷の見える腕が出刃包丁と共にブーンに向けられる。

(*゚ー゚)「やっぱり……こうするしか、無いんだね」

(;^ω^)「……!」

('A`)「なんだよー。こんな可愛い子が彼女だったのかよー。
   俺との関係は一体なんだったんだよー」

ドクオが状況を理解しきれないのも当然だ。ブーンにだって無理な話である。
まず、このパラノイド女をどうにかしなければならない。だがどうしようもない。

やはり逃げるしかない。そう思い、ブーンは背中を向け、走り出そうとして、また立ち止まる。

川 ゚ -゚)「……」

視線の先に、件の少女が立っていた。

122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 00:59:01.65 ID:WCXJZjRaO
戻ってきてたww

支援

123 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 01:00:20.14 ID:NAyDS5cH0
川 ゚ -゚)「ここでお前が死ぬのは、非常に惜しい」

前と同じく意味深そうな言葉を吐き、クーはしぃの行く手を阻むようにしてブーンの前に立った。

川 ゚ -゚)「……ブーン、忘れたか」

(;^ω^)「……なんだお?」

川 ゚ -゚)「無意識をなめるなと、私は言った。そして現に、のっぴきならない事態が起きている」

しぃのことだろう。この事態は、やはり彼女と関係があるようだ。無意識無意識とクーは連呼する。
一体それは、何なのだろう。そういえば、モララーも無意識と言っていた。

(*゚ー゚)「あなたが……ブーンの……」

当然するべき勘違いをしぃはしている。

(;^ω^)「どど、どうするつもりだお」

静かに相手を睨め付けているクーに、ブーンは訊ねた。

川 ゚ -゚)「……忘れたか、ブーン」

( ^ω^)「?」

川 ゚ -゚)「私は、『魔法』少女だ」

……ああ、そういえば、そうだった。

第二話『ネガティブアンハッピー・出刃包丁エッヂ』終わり

124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:03:02.30 ID:WCXJZjRaO
乙!

125 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 01:04:32.51 ID:NAyDS5cH0
今日は以上です。

地の文が阿呆みたいな多いくせに、
五十レス以上投下という、キチガイじみた行為をお許し下さい。

ここまで支援ありがとうございました。以下見苦しい言い訳。

クーが魔法少女云々という話を投下し、ありがたいことに一旦まとめていただいたのですが、
自分自身納得できなかったところが多々ありまして、お願いして削除していただきました。

で、今回。ある種デメイクみたいな感じです。

・萌えない
・燃えない
・地の文多い

今更ながら、以上をご留意下さい。

ここまでで訳の分からないところがあったかもしれません。
これ以降、更に訳が分からなくなります。

以下、質問等あればどうぞ。

126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:04:38.14 ID:koBnrUM00
乙です! まとめさせてください。

127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:09:05.68 ID:IW03hkeMO
乙です 
まとめさせていただいても宜しいですか?

128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:10:11.43 ID:y7rWkNEDO


129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:10:57.50 ID:FZn900dN0


130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:12:35.99 ID:qAr74Tze0

これは久々にツボな作品だぜ

131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:14:41.97 ID:06S/9yYZO
いたい小説ですね

132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:16:43.28 ID:WCXJZjRaO
全何話くらいで完結の予定でふか?

133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:17:08.55 ID:liRtWdDg0
支援

134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:18:08.42 ID:liRtWdDg0
次回投下予定を教えてほしい

135 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 01:20:56.68 ID:NAyDS5cH0
>>126-127
こんなものでよければお願いします

>>132
多分十〜十五話とか

>>134
次回は一話だけの投下になると思います。
予定としては一週間後までに。

136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:22:41.80 ID:WCXJZjRaO
結構長くなる予定なんですね
次回も楽しみにしてまふ^^

137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:22:44.38 ID:liRtWdDg0
VIPに張り付く自信がないのでできれば避難所がほしいんだが立ててもらえないだろうか?

138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:25:22.69 ID:WCXJZjRaO
>>137
まとめじゃダメなの?

139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:29:48.29 ID:liRtWdDg0
>>138
リアルタイムで支援したいじゃん

140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:33:31.72 ID:WCXJZjRaO
>>139
その気持ちはわかるけどVIPと避難所の両方に投下するのはめんどいんじゃね?

141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:34:37.17 ID:liRtWdDg0
>>140
いや、避難所に「これから投下開始するよー」って一言くれれば後は探せるし、それだけでいいんだ

142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:38:18.07 ID:WCXJZjRaO
>>141
そーいうことね すまん


143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 01:47:50.29 ID:7VlEid8vO
乙!
続き期待してるがんばれ!

144 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 02:00:14.78 ID:NAyDS5cH0
>>141
ううん。
投下予告のためだけに避難所にスレ立てしていいものかどうかが気になります。

基本的にスレなんてものは運で出会うものですたぶん。
投下の時間帯は大抵今日と同じです。ので……頑張ってください、としか。

どうしてもという場合には、ブログのアドレスをお教えします。馴れ合い臭くて申し訳ないですが。

145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 02:06:49.42 ID:liRtWdDg0
>>144
できればお願いしたい

146 : ◆xh7i0CWaMo :2008/09/23(火) 02:13:28.82 ID:NAyDS5cH0
>>145
http://corrugatedbox.blog82.fc2.com/

どうぞ。

147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/23(火) 02:16:50.28 ID:liRtWdDg0
>>146
ありがとー

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